rembrandt and family/レンブラントと家族の肖像



レンブラントの絵のモデルには、彼の家族が頻繁に登場する。
彼の母親、最初の妻サスキア、後の妻ヘンドリッキエ、そして息子ティトゥス。
これらの人物は、ある時は神話の主人公になっていたり又、ある時は本人そのものの肖像画として描かれる。
画家とモデルが向き合って、画家が描くのはいったい何なのだろう?

それはモデル自体なのか、それとも画家の主観が捉えたモデル像なのか、あるいは両者の関係性が育むものなのか。


レンブラントが家族を神話のモデルとして描く時、彼がそこに描き出しているものは、神話の主題に即したモデルの中のある部分なのではないかと思う。
彼は自分でモデルを見て感じ、ある部分を引き出して描く。
そのある部分は画家自身のある部分と共振している、だからそれをとらえて描くことができるのだ。(実際にレンブラントは妻サスキアをモデルにした絵を彼女の死語、何十回も上から描き直している。そういうことが出来るのは彼の中にサスキアの中の何かがあるからだろう。)


それ故に、その絵に描かれていたものは画家自身のものでもある訳で、それと同時に、その絵を見た私達が感じるのも、自分達自身の同じある部分である。
だから僕達はその絵を見た時に、得も言われぬ感動を受けるのだ。
一方で、レンブラントが彼の家族を彼の家族そのものとして描く時は、少し違った印象を受ける。
特に彼の息子ティトゥスを描いた絵は、レンブラントとティトゥスの関係性が強くあらわれているように思える。
心を開ききれないような表情の、息子ティトゥス、その中から滲み出てくる感情を静かにうけとめて描く父親レンブラントの姿が垣間見える。

コメント
実を言えば、レンブラントに関しては大袈裟な宗教的大作よりも、ティトゥスを描いたような小品の方が好きだ。
それらの絵はなんというか暖かみが感じられてすごく落ち着くし、毎日見ていても飽きないんじゃないかと思う。
もちろん、夜警のような大作も好きなことは好きなんだけれど。

1998 amsterdam netherland/gento.m.a.t.

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