AIX EN PROVENCE/プロバンスへ



カンヌやモナコのスノッブさも、ニースの俗っぽさも、どうも今一肌に合わない。
でも、ここはバッチリ、ピタッと波長が合うというんでしょうか?
エクスアンプロバンス。
ちょっと住みたいと思った。夏の間3ヶ月とか。
一周するのに1時間もかからない小さな街。
でも、どこか特別な街だ。


街を貫く大通り、ミラボー。
巨大なプラタナスの並木が連なる、この世にも美しい通りは、照りつける太陽をプラタナスの葉が心地よい風に替える。
路面には木々の影が揺れる。
舗道に張り出したオープンカフェには、思い思いのお洒落をした人々が座り、道行く人々を眺めている。
通りには、ただ心地よく過ごすために大勢の人々が木陰を歩く。


ミラボーを抜けると旧市街が拡がっている。
昔のままの町並み。
旧市街の外れには倉庫街が拡がっていて、そこは新しい店が続々とオープンしている。
丁度、数年前の原宿の裏の方みたいだ。
もともと大学を中心としたアカデミックな街で、だからこんな雰囲気のある、しかも先鋭的な場所が産まれているのだろう。


それにしても、もしこの街にあのプラタナスの並木が無かったとしたら、いったいどれ程潤いのない寂しい街になっていたことだろう。
そのプラタナスにしたって、もともとはきっと、あまりにも日差しが強くて暑いのでしょうがなく植えたのではないだろうか?それ程に無茶苦茶に暑い。
でも、あのプラタナスの並木があるおかげで、今日も人々が昼間から通りに集まってくるのである。
この木々は、この街の雰囲気を決定づけているように思われる。
しっとりとして、艶やかで、涼しげな風のような。
この木々が街を創り、人を呼び、街を育てているのだ。
ニースとのレヴェルの違い(ジャンメディシンBVD)も。この並木のレヴェルの差が産み出したものなのだろう。


その光と影の対比には全く関心させられる。
しかし、この光と影がモネじゃなくてセザンヌを産んだというのもおもしろい。
この光と影が、あの網分解のような手法を産んだのだろうか?よくわからないけど。
ピーターメイルが、エクスのカフェにおける、女子学生の足の組み方についての考察を書いていたが、それは全くもって的を得ている。
本当に考え抜かれた足の組み方であり、座り方なのである。全く感心する。
美しい並木通りは、人を美しくさえさせるのだ。多分。

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