2000.9.20JAPAN VS BRASIL 日本対ブラジル



score japan0-brasil1

評価
GK楢崎 6.O(飛び出しのタイミング、高さともに及第点)

DF中澤 7.5(スーパープレーを連発!高さで一度も負けること無く、ピンチをものの見事にくい止め、ロナウジーニョを交代に追いやった。)

宮本 6.0(ちょっとぎこちないところはあったが、まずまずの活躍)

中田浩 6.O(サイドから崩されることは少なかったので、合格点)

松田 6.5(後半から出場、流れを引き寄せた)
MF稲本 6.5(相変わらず、すさまじい運動量で攻守に活躍したが、判断の遅いプレーも多く見られた)

明神 6.O(良いところも多かったが、判断力やポジショニングに課題もあった)

酒井 6.5(絶妙のポジショニングで、攻守に活躍したが、後半ばてて運動量が落ちた)

三浦 6.5(特に後半はよく機能していたし、1対1で負けてなかったが、中田浩二とのコンビネーションが課題か)

中村 6.0(セットプレーの精度はさすがだが、フィジカルで負けていてボールをキープしきれず、局面をあまり打開できなかった)

本山 - (採点不能)

FW高原 6.O(技術はともかくとして、気持ちで勝っていた。精神的支柱に)

柳沢 6.0(フィジカルで負けていないしボールをよく追ったが)

平瀬 - (採点不能)

トルシエ 6.0(採点微妙も、スロバキアが勝っていることを知っていたなら、味な采配。そうでなかったら、勝つ気あるのか?)

解説 6.0(適切なこと言っている)
実況 6.5(年末に名ゼリフ特集で必ず流れるような名ゼリフを産み出したのでは?)
審判 5.0(不可解な判定があった)


解説
いやあ、決勝トーナメント出れて良かったですね。
やはり南アフリカはMFフォーチュンの欠場が大きかったみたいで、助かりました。
でも、その辺が本当に強い国とその他の国を隔てる大きな壁なのかも知れません。
つまり、中心選手が抜けた穴を埋められるかどうか?長期間の試合を通じてベストの力を出すことが出来るか?ということです。
日本はトルシエ体制になってから、これらのことを徹底的に鍛えてきました。
その結果として、中心選手が累積警告で出られなくても、怪我やコンディション不良のために出られなくても、強さを発揮出来る様になったのです。

とは言え、中田英の抜けた穴は埋めきれるものではありませんでした。
中田は精神的な面でもゲームにおいても間違い無く、柱と言える存在であり、それに対して中村は、技術的には一番うまいけれども、チームを支える柱というタイプではありません。
むしろ、稲本や明神にその役が求められた様な気がするのですが、とりあえず一旦誰かに預けてからなら、直ぐにパスの出し所を見つけられるのですが、判断が遅いために、敵のプレッシャーを受け、パスコースを限定されていって、結果としてボールを奪われるということが多く見受けられました。
特に、右サイドの酒井のポジショニングが非常に良く、日本がボールを持った際に、常にフリーの位置に居たのだけれど、その酒井に直ぐにボールを預ければ、簡単に展開出来るにも関わらず、ボールを持ちすぎて袋小路に陥ったケースが多く、結果として、立ち上がりからブラジルのペースで試合をさせてしまった。
中盤に中田のような驚異的なキープ力を持った選手がいない場合は、一旦フリーになったサイドに預けて、逆サイドに展開するといった工夫が絶対に必要です。
実際に酒井から逆サイドの柳沢へのアーリークロスで決定的な場面を作ったシーンがあったけれど、そういうシーンをもっと見たかったですね。
失点は仕方無いと思います。アレックスはいい選手だし、一点くらい入れられるのは折り込み済みです。
しかし点を決めることが出来なかったのは、柳沢と高原のツートップが速すぎて、中盤の選手がフォロー出来ないという面が大きいでしょう。
この二人のツートップはあまり得点を挙げない替わりに、相手ディフェンダーを極端に消耗させていきます。
試合の後半、必ず日本のペースになるのは、日本の選手にスタミナがあるということと同時に、このツートップのせいで、相手が疲れるということも大きいのです。
ただし、よく動き回って、しかもスピードのあるフォワードというのは、彼等だけで得点する可能性が実は非常に低いのです。
というのも、動き回ると肝心のシュートを打つ時に疲労していて、正確なシュートを打つことが出来ない。
速いスピードでプレーしていると、それだけボールコントロールが難しくなって、トラップが流れたり、蹴る位置が微妙に変わったりして正確なシュートが打てないということが、必然的に起こるのです。
ですから、得点を決める為には、彼等がシュートしてはじかれた球を後ろから来た選手が押し込むとか、彼等がポストになって、後ろから来た選手にシュートを打たせるといった方法が必須なのです。
日本のフォワードが決定力不足なのではありません。
そもそも、そういうサッカーを目指しているから、必然的にそう見えるのです。
日本の得点力は実はすさまじいものです。
オリンピック代表が無得点だったのは、実に20試合振りであり、その間の総得点は84点にも登ります。
そんなに決定力のあるチームは世界中のどこにもありません。
たかだか一試合得点が入らなかっただけで、決定力不足なんて言っちゃいけません。
事実誤認も甚だしいです、マスコミの方々。
でも、それだけスゴイ得点能力を誇る日本が、この試合に限って得点が出来なかったのでしょうか?
それは、ずっとツートップのままで戦っていて、しかも中盤とフォワードの間が間延びしてしまった為です。
後半は稲本が果敢に上がってきてフォワードをフォローしていたけれど、やはり長く走りすぎていて、決定力が不足していた。
点を入れたければ、ワントップにして、中盤の選手とフォワードの位置をもっと近くしなければ駄目です。
しかしこの日は、中田浩二のアクシデントもあって、交代のカードがうまく使えなかったという面と、スロバキアが南アフリカにリードしていたという事実から、日本が勝ったり、引き分けたりすると、1位で予選リーグを通過してしまい、カメルーンという、一番避けたいチームと次にあたることになってしまう。
一方、2位で通過すれば、相手はアメリカで、一番楽そうな相手だ。
と言うわけで、この試合、勝ってはいけない試合に途中からなっていたのだった。
そんなわけで、もし、決勝でブラジルと当たったら、今度は勝てるのではないかと思う。
五分五分よりもむしろ分はいいのでは?

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