east and west/人はなぜ旅に出るのか?西へ東へ


遠い昔 アフリカの地で生まれたと言われる人間の祖先達は、争いの結果か、未知への憧れからか、遠い地の果てまで延々と旅を続けることになる。

日が昇る方向、つまり東へ ユ−ラシア大陸を横断し、あるものは途中で永住の地を見つけ、あるものはついに地の果てまでたどりついた。

その地の果てこそが、FAREAST-東アジアである。

そして、その中から、さらに海を越えて(陸続きの時代に渡ったものもいただろうが)、東を目指した人達がたどりついた最果ての島、それが日本だ。

一方で、その道を逆へ、つまり陽の沈む方角、西へ向かったもの達もいる。

彼らもついには、大陸の西の果てまでたどり着くことになる。

ポルトガル、スペイン、フランス、ベルギ−、オランダ、さらには、海を越えてイギリス、アイルランドまで、人々はたどり着いた。

大航海時代の始まる16世紀まで、長い間、多くの人々にとって、世界の果ては、ユ−ラシア大陸と太平洋、大西洋が出会う地だった。(もちろん、アメリカ大陸に渡った人達もごく少数ながらいたわけだが)
 

地の果てを目指した彼らが、迫害から逃れるためにこの道を選んだのか、あるいは、未知なる憧れのために選んだのかは解らない。が、どちらの文化にも、自分達がたどってきたのと逆の、西の果てや東の果てに、パラダイスの幻想を抱くようになったのは、彼らが最果ての地にたどり着いてしまったからに他ならないのではないだろうか??

彼らの遺伝子に眠る旅への心は、時代を越えて生き続け、技術革新による大航海時代に、一気に噴き出すことになる。

結果、西ヨ−ロッパ人は、新大陸アメリカを発見し、植民地として、そこに移り住み、また、あるものは更にアメリカ大陸を地の果てまで突き進んだ。

彼らがついにたどりついた場所、それがカリフォルニア、ウエストコ−ストだった。

そして、地の果てまでたどり着いて彼らが見たものは何だ?彼らがつくりあげたものは何だ?

それは郊外の芝生付の一軒家であり、ショッピングモ−ルであり、クルマであり、ディズニ−ランドであり、そしてハリウッドだった。

最果てまで追い続けた夢は、現実そのものとしてではなく、テ−マパ−クや映画という架空の装置に置き換えられたのだった。

 

ハリウッド映画やディズニ−ランドや、その他のアメリカ文化が、20世紀の世界を埋め尽くしたのは、ある意味で必然だったといえるのかもしれない。なぜならそれは、人々に眠る旅する遺伝子がカクトクした さらなる最果ての地だったのだから。

 

話は大航海時代にもどり、東に最果ての地を目指した人々は、太平洋の島々へ渡り始める。そこに新なる楽園をもとめたのだ。
 

その地を植民地としていった彼らは、ついに、西側からやってきた最果ての楽園をもとめる人々と、ぶつかりあってしまうことになる。

太平洋戦争は、そうして起こったのだ。彼らのもとめる楽園幻想 それをめぐって... 

そのたたかいで破れたのは、はたして東側だけだったのだろうか??

地球上に、もはや最果ての地が無いと知ってしまった、西側の人々もまた、夢は破れ去ってしまったのではないだろうか??


 

けれども、人々の旅は、まだ終わってはいなかったのだ。

そして人々は、ついには宇宙にまでたどり着き、さらには、ドラッグの力をかりて意識の中にまでたどりつくようになった。この先、僕達は、いったいどこまで旅を続けるのだろうか??


 

 

僕は今、西へ向かっている。かつての最果ての地へ... 

なぜ人々をそこへ向かわせたのか??あるいは、なぜ人々をそこにとどまらせたのかを知るために。
 

そうして 僕等は、これから どこへ行くのだろう。

NEXT TRAVELL

TRAVELLING BACK

CONTENTS