マルシェを作ろう!!その1


食料品や雑貨の青空市、骨董市、フリマ等


パリの朝市利用率は50%に達している。
地方では90%に達する地域もあるほどマルシェは生活に根付いているらしい。

アメリカでは合理的で大量生産、大量販売の集約型ショッピングモールやハイパーマーケットの影響で、既存の旧市街の商店街の空洞化が進み、リニューアル計画も失敗したものが多いのに対してヨーロッパ(特にラテン諸国)では、ハイパーマーケットも成功しているが、旧市街の商店や市場の依然として売れている。

これは専門家による生産、流通、販売の仕組みが、大量販売集約的な組織の製品レベルの全体的な低さに対する高品質製品、サービスの差異を産み出し、相互補完的な役割を果たしているためと考えられる。



マルシェの意義

現在ほとんどの農作物は地域の農協に集められて一括して市場に送り出されている。
そのためせっかく他者と差異化した特別においしい作物を作った農家や規格外の野菜を作りたい農家にとっては極めて不利な状況を産んでいる。

アメリカでは特に農業の集約化が進み、種苗会社や農作機器メーカーや化学薬品メーカーやバイオテクノロジーのメーカーと提携した超合理的で大規模な農業が発達し、これがファストフードやその他多国籍の巨大なアグリビジネスの会社と結びつき、画一的で安価で安定した農産物と食料品の供給を可能にした。

しかし、遺伝子組み替え食品への安全の疑惑など、こういった現代的な超資本主義によるアグリビジネスに対して、特にヨーロッパや日本で拒否反応が起きている。



マルシェが有利な点は、生産者と消費者が直接結びつくことが容易に可能だというところにある。

コンピューターやネットワークが発達した現在、良い品質や安全な品質を求める消費者と、それに対応出来るレヴェルの高い生産者が結びつくことは、以前よりも遙かに簡単になった。

けれど、依然として流通コストが高すぎたり、閉鎖的な仕組みに陥ったり、不作であったりしたときにどうするか?等、課題は尽きない。

しかし、ヨーロッパのマルシェに見られるように、決まった曜日の決まった時間に集約的に市を開くことによって、開放的で安く品質の高い食料品が提供されて、しかも、それは地域の商店やスーパーマーケットとの共存(棲み分け)も可能としている素晴らしい仕組みとして維持されている。



さらに言えば、初期投資が少なくて済む上に、安定的に街に人を呼び寄せ、地域のコミュニティーにも良い影響を与える側面がある。

日本は戦後、ダウンタウンや駅前の再開発や新規のインフラのビッグプロジェクトばかりを押し進めてきて、それが結果としてどこも同じでつまらない、裏寂れた中心街を招いてしまったと言える。

今、大規模なショッピングセンターやモール以外の商店街で、成功しているのは、既存の文化や施設や人ものを活かした独自の街作りを押し進めてきたところだけだとはっきり言える。(例えば、栗が有名な長野県の小布施とか、さつまいもが有名な(食うことばっかりか?? 笑)な埼玉県川越とか。



住民が豊かな生活を営み、満足して買い物をする一番のポイントは、アキラかに生鮮食料品にある。
安くて良い食料品、しかもそれがわくわくしながら買い物出来る街があったなら、その場所はアキラかに成功すると言える。

一時期カフェがブームだったが、次はマルシェとセレクト商店街の時代が必ずやってくる。はずだ。




....というわけで、行ってきました!!パリのマルシェ。 at PARIS FRANCE JULY 2003

今回の旅は時間が少なかったので、行きやすいところに2つしか行けなかったのですが、幸い いつも泊まってるパリのアパートメントホテルに泊まれたので、ばっちり買い物して料理して食べてきました!!

一つめのマルシェは...11区のバスティーユ、リシャールレノワ大通りのマルシェ。
ここのは規模が大きく、全部で屋台が3列。百数十はあるかなー??
肉屋、魚屋 オドロクべきことに、肉屋や魚屋のマルシェの屋台は、冷蔵装備付き!!電力は?どうやって組み立てるんだ??など謎はつきません。お金もかかっていそうです。
ここらのマルシェの人達は、火曜はどこそこ、水曜はどこと複数を掛け持ちにしているので、屋台が立派なお店なのでしょう。

八百屋にチーズ屋にパン屋にワイン屋に...洋服やバッグやかごを売っているお店もある。
八百屋もよくみると、じゃがいも専門とか、きのこ専門とか色々あります。


値段もぴんきり!!
例えばスリーズ(さくらんぼ)1キロの値段は...2.9ユーロから18.5ユーロ(1ユーロおよそ140円)までと5倍以上も違う。

高ければおいしくて、安ければまずいか?といえば、そうでもない。
例えば、1つ1キロはある大きなメロンが2つで2ユーロ(およそ280円)で購入したことがあるけど、これは激うま!!でした。

かと思えば、調子にのって購入したアスパラガス2束(およそ20本入り)2ユーロ!!は、下の方が「すかすか」で、「つかまされた!!」という感じでした。

でも、概ねスーパーマーケットより3割から7割くらい安いものが多く、高いやつは質がよさそうです。(みてくれだけかもしれませんが)

パリの野菜の値段は、マルシェの1.5倍がスーパーマーケット、3倍の値段で、夜も営業しているよろずやという感じになります。
質は安い順に良い 笑 かもしれません。

これなら高いマルシェ利用率も納得です。

ただマルシェは決まった曜日の決まった時間(午前8時から12時くらいまで)しかやってないので、忙しい人は利用できません。
それに買い忘れたものがあっても、おいそれと買い足しが出来ません。

だから、その補完の役割をスーパーやよろず屋が担っているのです。
土曜の夜の大型スーパーの混み方は半端じゃない。

でも時間に余裕のある人は、翌日に約半値で質の良い食品を仕入れることが出来るのです。




肉屋(ブッシェリー)ではオーソブッコ用の骨つき牛肉を購入。
トマトソース煮込みにしたり、焼いて食べたり。
この牛肉、オーソブッコ用にしてはやけに美味しく、焼いて食べた方が味が繊細で香りとうまさが口に拡がりバツグンの美味さでした!!
煮込むと繊細な味がわからない。

ちなみに日本では目の玉飛び出るほど高価な和牛がもてはやされていますが、フランスやイタリアのまともな牛肉は相当美味しいです。
しかも値段も高くない。高くてもキロ3000円から4000円くらいです。
肉屋によって質も値段もバラバラですが、子羊肉と牛肉を食べるにつけ、ヨーロッパは食肉文化圏なのだと感じます。

それと、ベーコンやハム、ソーセージの類は全然味が異なります。
単純な言い方をすると、塩味が濃いのです。
最初ベーコンを食べた時は、どうしようかと思った!!それくらい塩辛かった。
これはなぜかと言うと、余計なものが入っていないからみたいなのです。

日本でハムとかベーコンの品質表示を見ると蒼ざめる 笑 なんか変な記号の付いた物体がいろいろ入っている。
ようするに、塩分を控えて美味しくしようとすると、アミノ酸とかの旨味調味料とか合成保存料とがが必要なのだと思うのです。

もしかすると、日本の大量の添加物は、塩分控えめのヘルシー嗜好とか旨味成分絶対主義みたいなのが招いているのかもしれません。



果物の違いも顕著です。
ヨーロッパの果物は見てくれがいい加減なものが多い。
味はもうピンきり。

ただ、イタリアやスペインのぶどうとかオレンジにハズレは無い!!
あまりにも果物の栽培に適しているので、糖度が断然違うのです。
その分、手はかけていないので日本の最高級の巨峰のように宝石のような逸品というわけにはいかないのですが、そのぶん勢いのある味がすると思います。

一房100円から200円で日本で食べられるかなり美味しいレヴェルのぶどうが食べられるのは羨ましい限りです。

もっとも、リンゴや桃等の味は全く劣ります。(糖度が少なく固い)
だけど、これらを生食では無く加工品(ジャムやコンポートやジュース)の材料と考えると全く話しが違ってきます。

ようするに全然値段が違うのです。
下手すると200円程度の値段でかなり大きいビン入りのコンポートがスーパーで買えます。
しかもオドロクべきことにこれが美味い!!
高級品とかに味でひけをとる訳ではないのです。
生食ではそれほど美味しくなくても火を入れると美味しいのですね。

手間暇かけすぎない、それに耐えうる品種と栽培方法があるからそういう安くて美味しい果物の加工食品が可能なのだと思います。
ある意味、ヨーロッパにはそういう果物など季節ものを加工して保存して食べる食文化が息づいていると感じました。





さて、もう一つ出かけたマルシェは、サンジェルマンデプレで有名なファッショナブルな6区は、老舗百貨店ボンマルシェの近くのラスパイユ通りのビオマルシェ(有機市場)

ここのマルシェは全部無農薬有機栽培の品を厳選しているそうです。

屋台は並木道の真ん中の舗道に2列、全部で40から50くらいでしょうか?

どれどれ、よく見てみると、野菜の色やカタチが全然違います!!これが有機なのでしょうか?値段も、お、お高いのねー!!トマト1キロ6ユーロ!!(約840円)
さっきのバスティーユのマルシェの値段が1ユーロから1.5ユーロくらいですから6倍!!の値段です。
これじゃちょっと手が出ないかな??
ま、もっとも、これでも日本と比べるとそれほど高くもないかもしれませんが。

その後いろいろ廻って1キロ2.5ユーロのトマトを6個購入しました。
このトマトは生食には向かないトマトで、でも、トマトソースにすると良い味でした。

ま、格段に味の差があるか?と問えば、そうでもないのかなー??
値段が高くないやつだからしょうがないのか??
値段が高いやつも食べてみたかったですけど...

他に購入したのは...いんげん(アリコヴェール)とズッキーニ、メロン、それから、牛乳屋で、ミルクと量り売りのバターとヨーグルトを購入。

いんげん、ズッキーニともしっかりした味で美味でした。
ちなみにフランスの野菜は固いです。
茹で時間が日本の野菜とは随分違います。なかなか茹だらない。
品種がかなり違うのではないかなー?


ショコラティエでカカオとチョコレートを購入。
ここのショコラティエではカフェとショコラも出していました。
目の前では焼きたてのキャロットケーキを売る屋台があります。(誘惑に負け購入!)

そういう シズル感というのもマルシェには必要なのだと思います。

かごに入れた野菜の展示の仕方も美味しそうな シズル感を演出していました。

思うのですが、デパート等の食料品売場の演出はプロが関わっているので、「いかにも美味しそうに見える」のです。

それに対して地域の商店とかは見てくれが悪いので美味しそうに見えないことが多い。
けれど、美味しいそうに見えるところが必ず美味しくて、そうでないところが美味しくないかというと、経験上 多分相関関係はほとんどないと思います。

もっとも、見た目が味に変化を与えるということはあると思います。
だから、美味しそうに見えて、なおかつ美味しいというのが最高なことは言うまでもありませんね。

ビオマルシェの牛乳屋はけっこう安かったですね。
ミルク1リットル1.5ユーロ、ビン入りのヨーグルト0.45ユーロに、量り売りのバター100グラムで1ユーロしなかったと思います。

スーパーのビオ関係のプロダクトと比べて特に際だって美味しかったわけではないですが(スーパーのビオ関係はかなり美味しいです)、シンプルな瓶とシールがシズル感を演出していました!!
このくらいの値段なら間違いなく毎日利用すると思いますね。




マルシェというのはキリスト教が日曜を働いてはいけない日に定めているために、商店が営業出来ないところから、これだけ時代が変わっても維持されているというのはあると思います。
だから、多くのマルシェは農家が直接販売しているわけでは無くて、卸売り市場から買ってきて販売している、市場専門の販売業者のようです。
ただ、日本の寂れた商店街で細々と営業しているよりも、こうしたマルシェを廻った方が断然売れることは間違いなさそうです。

一方のビオマルシェの方は、もっとマニアックで、こだわりが見てとれました。
他の販売店との差異を考えても、始めは、こういった革新的なマルシェ ビオマルシェのようなものから始めるとよいかもしれません。

週に1回のちょっとした贅沢とわくわく感を演出出来そうです。



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