過融解/純粋さが産み出すもの



ラドガ湖の馬
マラパルテ(イタリア)

1942年、第二次世界大戦の旧ソ連、空爆によって起きた山火事を避けるため、付近にいた馬達が湖中に殺到した。
その時その付近では寒波が到来していて滅茶苦茶寒かったのだけれど、湖はまだ凍結していなかった。
ところが馬達が湖に入った途端、突然湖は凍りはじめて、馬達は氷の中に閉じこめられたしまった。
なぜそのようなことが起こったのだろう?

それは過融解が起こった為だ。
水を冷やしていって摂氏0度になると、ただちに氷になるよう思われるのだけれど、実際にはそうはならない。
冷却が急速に進むと0度以下になっても水(純水に近い水) は液体のままにとどまっている。
この状態はとても不安定で、ここにいくつかの砂粒が混じると突然氷結がはじまる。砂粒を核として氷結がはじまるからだ。
こうして氷結は急速に湖全体に広まっていったのである。

このように核生成の中心がないと凍結は冷却のテンポについてゆくことが出来ない。
極めて純粋な水は長い間過融解の状態にある。
急速に熱せられた水も同じで、純水の場合は過融解の状態にあるので、塵やほこりが混じると突然沸騰をはじめる。
こういう現象は、例えば人間にもみられるように思われる。

きわめて純粋な人、完璧さを求める人、このような人達がある種の圧力(ストレスやプレッシャー等)を過度に受けると、過融解の状態になっていて、ほんの些細なことが起きるだけで相転移(病気になったり、被害妄想、激怒、暴力等)が起きるのではないだろうか?
だからオウム心理教のような人達が殺人集団になったのも、この仕組みが働いていたように思われるのだ。

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