なぜ米国のイラク攻撃に反対するのか?



日本政府が支持しようとしている、アメリカによるイラク攻撃に反対する人の割合は80%にものぼるらしい。
国民の反対が8割にものぼることを政府が行おうとしているなんて、民主主義的にありえないような話しだけれど、この戦争の目的は「民主主義を守るため」らしい(苦笑)

僕等は「戦争は悪いことだ」と教わってきたよね。
だからみんな戦争に反対しているのだろうか??

あるいは、戦場になる場所の人達の暮らしを思って戦争に反対するのだろうか??
もちろん、それは悪いことではない。

50年以上も前に日本が戦場になった時、世界平和と民主主義や自由を守るために、アメリカが「日本という帝国主義」を破るための「正義の戦い」を行い、結果として民主主義や自由が帝国主義、軍事主義をうち砕いて平和をもたらしたのを僕等は知っている。

けれど、そのために犠牲になったのは、軍国主義だろうが帝国主義だろうが、ふつうに暮らしていた民間人だということも、僕等は知っている。

ウルトラマンが悪い怪獣をやっつける時、いつも踏みつぶされてぐしゃぐしゃになっているのは庶民の家や暮らしや命だ。

そういったことを思う時、戦争とはつまりそういうもので、出来ることなら避けるのが一番良いと僕等のかなりの部分はそう思っているのかもしれない。


イラク戦に賛成する人の意見というのは、イラクが大量破壊兵器(核兵器や生物兵器)を持ってるから危険だから攻撃するということらしい。

かつてナチスのようにしないために、独裁的な政府が危険な行動を起こす前に処分を下すのが、即ち正義であるということだよね。

でも、ちょっと待った、大量破壊兵器はイラクよりもアメリカや世界の他の地域の国の方が沢山持っているではないか。
それを持っているだけで、その国を攻撃するという根拠とはいったいどこにあるのだろう??謎だ。

そういうことの根拠になっているのは核拡散防止条約があるかららしい。

これは、核を使用させないために現在持っている国は許すけど、新たに作ったりするのはまかりならん!というきわめて既得権益の国に都合のよい条約。
大量破壊兵器を拡散させないという大義名分は、かなり正しいけれど、どこの誰が使おうが(それが正義であれ悪であれ、それで人や生き物が取り返しのつかない程多く損なわれてしまうのは一緒だ)

問題はそれを、そういったリスクをどうやって回避すべきなのか?ということだ。

今回のアメリカによるイラク攻撃の是非について一番議論しなければいけないことは、即ち、今、アメリカがイラクを叩くのと、叩かないのと、どっちがよりリスクが低い(世界の安全に繋がるのか)という議論だと思う。

世間の会話を聴いていると、よいとかよくないとか、正義とか悪とか、感情論とか、なんか違うなと思う意見が多い。

はっきり言おう。
今、日本に住んでいる人々にとって、イラクが日本対し、生物化学兵器や核兵器を使用して攻撃する可能性は限りなくゼロに近いのは明かだと思う。
特にイラクにうらまれる憶えはないし、イスラム教を冒涜してるわけでもない。
ほとんどニュートラルな位置に我々はいるはずだ。

一方で、日本がアメリカを支持してイラクへの攻撃を容認、支援して石油の利権の確保などを行えば、それに対する反対派の過激なイスラム組織が日本にテロ攻撃をするだろう確率は、かなり高いと思う。
なぜならイスラム教の教えとはつまり、「目には目を歯には歯を」ということだ。
やられたらやり返す。それがイスラムの掟だし、
テロやゲリラとはつまり非対称な戦争だからだ。

(これにはイスラム法のかたから異論があると思うので、念のために言っておくと、「目には目を歯には歯を」というのは元々ユダヤ教の原典からあるもので、拡大報復などで暴力がエスカレートするのを出来るだけ防ぐために考え出されたより平和的な暴力やトラブル解決法です。そしてイスラム指導者の多くは出来るなら寛容に対処するのが望ましいという見解を出しているらしい。けれども、ほとんどの人がジハードを自重したとしても、十数億いると言われているイスラムの人々の中に報復を考える人がかなり多数いるであろうことは自明だ。何しろ0.1%いたとして150万人だ!!)

我々がイラクに対する支援をしたのなら、それがテロというカタチになって返ってくることを覚悟して行わなければならないと思う。

それが僕等日本人にとって一番の問題だと思う。
ここでイラク戦を行うことが我々のリスクに繋がるということ。
このことを解っていない人があまりにも多い。

ニューヨークでのテロ911で我々が知ったもの、それは世界のどこもが非対称な戦場になりうるということだったと思う。
つまり、このままイラク戦に突入すると我々にリスクがふりかかる可能性がかなりあるにも関わらず、政府が「アメリカを支持します」と発言したのだ。

このことは極めて重大だと思う。
そういうことを国民に対して何の説明もなしに発言するような政府を、僕は認めたくない。
イラクに住んでいる人が可愛そうだとうか、そういうことはもちろんあるけれども、現代において戦争というのは、我々も関係しているのだということを忘れてはならない。

彼等が我々とは別の論理体型によって動いていることを知らなければならない。

日本のような島国でのんきに暮らしているのと違うのだと思う。

もし、イラクが湾岸戦争の時のように他の国を侵略し始めた時には、その時点で国連は行動を行えば済む。

フランスやドイツであれほど反戦が叫ばれているのも、彼等が移民を受け入れていて、彼等の中に爆弾を抱えていることが解っているからという部分が大きいと思う。
もちろん、石油の利権問題というのも大きいのだろうけど...

今、イラク戦に突入すると彼等の生活が脅かされる可能性があることを知っているのだ。

アメリカの抑止力としてのフランスとドイツ(特に安保理の拒否権を持つフランス)には、かなり期待している。

我々には拒否権がない。
それどころか、政府は賛成してさえいる。
これが現実だ。

どのようにしたら、危険を回避できるのか、これから真剣に考えてゆきたいと思う。

今度ばかりは、どうしても戦争を止めてみたいと強く感じています。
もしかしたら、世界のターニングポイントかもしれないから。

それでは、また。

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