FIFA CONFEDELATIONS CUP 2001
JAPAN VS CANADA


いやあ、久しぶりに気持ちよく試合に勝てて、とても嬉しいんですけど、それはそれとして、冷静に試合の分析をしたいと思います。

まずはメンバーから
DF/上村、森岡、中田浩
MF/戸田、伊東、稲本、小野、中田英、森島
FW/西澤
というメンバーで、戸田と上村が目新しいものの、俊輔と名波がいない現状では、ほぼベストと思われる布陣。
パスの出し手、受け手、ファンタジスタとドリブラー、動き回る選手とスピードのある選手がうまく組合わさっていて、バランスの取れたメンバーだった。
ので、期待は高まった。

試合が始まって、なるほど日本はバランスは取れていたが、予想以上にカナダが強かった。
凄い身体能力とスピード。(さすがベンジョンソンの国!!)
速いパス回しと速いプレッシャー。
意外と組織的だし、守ってカウンターかと思ってたら、そうではなくて、近代的なサッカーだ。
そういえば元浦和のオジェック監督だっけ。
左サイドの選手もなかなかうまい。
日本はその左サイド(日本からしてみると右サイド)を何度も破られ、決定的なピンチを何度も迎えた。
しかし、川口が今日も凄かった!!
全部止めた。
やっぱりバイエルンミュンヘンのカーンもそうだけど、キーパーって重要だ。
ここで2失点位してたら、この試合どうなっていたか解らない。

一方の日本も、日本代表の生命線、森島が復活しただけあって、攻撃がスムーズだ。
イタリア帰りの中田英こそ時差ボケか?動きがいまいちだけど、小野の動きが凄く良くなっていた。
全盛期のキレとテクニックが戻ってきている!!
カナダのキーパーも、なかなか良いキーパーで、決定的な場面を何度か止めて、0対0。
ここで何を思ったか、トルシエ監督は選手交代!!
中山隊長。
え、中山??誰に変えるの??
ディフェンスの上村だった。
右サイドを難なく突破されてるから、右サイドにスピードのある波戸を使うのかと思った(ワタクシだったら最初からそうしただろう)ら、そうでは無く、戸田をバックにして、2トップにする超攻撃的な布陣にした。
ちょっと、これってバランスが崩れないの??
と、思って見てたら、案の定前半の終わりの方はピンチの連続。
おいおい大丈夫か??

結局、前半は0対0のまま折り返す。

ここでおさらい。
過去の日本代表(五輪、ユース代表を含む)は、後半強かった。
なぜなら、日本は他の国に比べてスタミナがあり(米食ってるからね、マラソンも強いし)交代の選手のレベルも高かった。
だけど、この試合には一抹の不安が...
怪我人が多くて、俊輔も名波も高原も柳沢も本山も奥も居ないのだ。
流れを変えられる選手が居ない。
唯一、流れを変えられそうな中山は既に投入していた。
どうするんだ日本!!

後半が始まると、日本はバランスが良くなっていることに気付いた。
そうだ、バランスをうまく取るのはシステムやフォーメーションだけでなく、個人と個人の関係である程度修正できるのだ。
やっぱり、森島のおかげと、小野が調子いいから、システムが流動的になって、うまく機能している。
そんな中、ペナルティーエリアのすぐ外で中山が倒されてフリーキックを得る。
頼むから調子の悪い中田じゃなくて小野に蹴らせてくれ!!
今の彼なら入れちゃうぞ!!
そんな願いが通じたのか、中田本人が今日はいけてないと判断したのか、小野が蹴ったフリーキックはものの見事にゴール隅に吸い込まれた。(新聞情報では口じゃんけんだそうな)
キーパーは一歩も動けなかった。
小野は蹴った瞬間に入ったと思ったらしく、ゴールをろくに見ずにガッツポーズをしていた。

1点取れば、緊張感から解放されるし、ホームだしで。話しは全然違ってきて、パスがおもしろいように繋がり出す。
追加点は凄かった!!
中田から左サイドへ開いた中山に強烈なロングパス。
それをライン際で必死に止めた中山がドリブルで持ち込み、逆サイドを駆け上がっていた森島にセンタリング。
それを森島が折り返して、詰めていた西澤が豪快なヘッドで決めた。
ほとんどダイレクトで、しかもハイスピードで繋がったスーパープレーだった。
これだから日本代表のファンはやめられない。
調子に乗った日本を止めるにはカナダの選手達は経験が足りなかった。
まるで、この前の日本対フランス戦の時の日本の選手達のように為すすべが無かった。
思うのだけれど、日本とカナダの実力差は、多分フランスと日本の差位なのだと思う。
ハッサン2世国杯の時みたいに互角の戦いが出来たのが前半戦で、後半戦はこの前のゲーム。
どちらの実力差も真実であると思う。
だから、ゲームを戦う時は自分達に一番有利になるような戦い方をしなければならないし、そう出来るように準備を積んでいかなくてはならない。

ここで、日本は体調が万全では無い中田を休ませて、三浦淳を左サイドの入れて小野をトップ下で使う余裕を見せる。

この辺からは小野伸二のワンマンショーのようだった。
これだけ調子の良い小野を見たのはいついらいだろう?
多分、シドニーオリンピックの1次予選以来だろう。
ついに、あの小野が帰ってきた!!という感じで、一つ一つのプレーにため息が出る程の素晴らしいプレーだった。
本当に本当に正確なパス。そしてボールコントロール。
超一流のダンサーの劇を見ているかのようだった。
3点目は、その小野からの、ひもでもついてるんじゃないか?というような正確で絶妙なタイミングのパスから森島が押し込んだ。

この試合で得たものは何だろう?
結果に一喜一憂するバカなマスコミは又、攻撃への準備が出来たとか騒ぐのだろうが、この試合内容はアジアカップやシドニーオリンピックと同じ戦いをしただけである。
このメンバー構成で、この相手にやればまず勝てることは既に実証済みである。
ワールドカップのような戦いでも、必ず超一流じゃない国と1カ国は戦うことになるだろう。その時に確実に勝ち点3を取れるような戦い方を日本は身に付けている。

つまり格下相手に必ず勝てる!!
そして、次回のワールドカップ予選もまず負けないだろうと思う。
これは非常に大きいことで、ヨーロッパの強豪国にも、格下のチームに勝ちきれないチームが多く、予選でてこずることが多いのだが、日本はすごい武器を身に付けている。

何度も繰り返すようだけれど、日本の戦術のキーマンは森島である。
彼がいるから、中村や小野や中田のような優れたパスセンスのある中盤が機能するのである。
もし、ワールドカップ本大会に森島が怪我で出れないようなことがあった場合、どうすればよいのだろうか?
その答えは、実はもう見つかっている。
それは本山だ。

では、本山も出れなかったフランス戦やスペイン戦の時のようになってしまった場合は?そうならないように願うばかりだ。

この試合の一番の収穫は小野伸二が帰って来たこと。

一番の問題は、ディフェンスになおも不安を抱えていること。
相手がカナダだから(シュートが下手)点が入らなかったけれど、他の相手だったら??
まあ、川口が止めたかもしれないけど。
やっぱり、ディフェンスには足の速い選手が最低2人は必要だと思う。
波戸、中西、鈴木秀...考えてみて欲しい。

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