戦い済んで...ワールドカップレビュー


祭りの後の寂しさよ...
ついに終わってしまいましたね、ワールドカップ。
自分が生きているうちに再びこの地で開催することはあるのか?という感じですが、この辺でワールドカップの総括を...

今大会の特徴として、ワールドカップ出場国の全体的な底上げがあったと思います。
思いつくままあげてみると、ベスト4に進んだトルコ、韓国をはじめ、セネガル、アイルランド、アメリカ、日本、アイルランド等、強豪国とは言い難い国々の健闘が目立った大会でした。

その一方で優勝候補と呼ばれたフランス、アルゼンチン、ポルトガル、イタリアは早々に姿を消し、予選で姿を消したオランダを含めると、現代サッカーを代表する戦術とテクニックとタレントを備えた強豪は、ほぼ全滅といった状況でした。

なぜこのようなことになったかというと、梅雨を避けるために開催が10日ほど前倒しになったために、欧州の有力国が充分な休養と準備期間がとれず、主力選手のコンディション不良や怪我で充分なパフォーマンスが発揮できなかったこと、チームの成熟が送れたこと、疲れていて思うような動きが出来ず、本来予選リーグは力を抜いて通過したいところだったのに、それを許すほど対戦相手が弱くなかったこと、等の条件が重なってこういう結果になったのだろうと思います。

フランスの敗退はピレス、ジダンの穴が大変大きかったということがあるでしょう。前回大会の時は主力選手がそれほど固まっていず、チームが強くなっていく過程で組織に柔軟性があったけれど、今回は完成しきったチームから主要なパーツが抜け落ちてしまったということなのかもしれません。

フランスが最強だったのは、おそらく去年だったのです。

アルゼンチンは奢りがあったのかもしれません。
今までの結果から自分達が最強だと思ったのは当然のことだったかもしれませんが、戦った相手がくせ者で、本来の力が発揮させられませんでした。
ま、F組でなかったら決勝まで進んでいたのでしょうが、くじ運が無かったとしか言いようがありません。

ポルトガルはフィーゴの不調、ルイコスタの怪我が全てかもしれません。
凄い選手はいるけれど、選手層が薄く、そしてスター選手の力が圧倒的すぎて、彼等無しの戦いというのが考えられないのかもしれません。
凄い選手がいるチームほどそういう傾向にあるみたいです。

仮にブラジルでリバウドとロナウドが不調だったとしたら、彼等は早々に敗退していたことでしょう。

イタリアの敗退は審判の誤審と、もうひとつはトラパットーニ監督の采配がまずかったことがあげられると思います。
あれだけ攻撃のタレントを抱えながらヴィエリとトッティしか攻撃の選手を使わないサッカーなんて考えられません。
まさに宝の持ち腐れとはこの国のことをいうのではないでしょうか?

決勝トーナメント1回戦で、韓国のホームで行われるこの試合、韓国有利の審判の笛が吹かれるのが目に見えている状況で、後半15分という早い状況で攻撃の要だったデルピエロを引っ込めて守備固めに入ってしまったイタリアは、あたりまえのように負けてしまいました。
やはりイタリアはアウェーの戦い方がなっていないようです。
アタッカー以外の中盤の選手の技量に見るべきものは何もありませんでした。

ディフェンスは、ネスタとカンナバーロとブッフォンだけ。
イタリアの価値観がイタリアの冬の時代の到来を告げているようで悲しいです。
あれほどのタレントを抱えているのに!!
そしてそれはブラジルにも匹敵するほどなのです。
トッティ、デルピエロ、バッジョ、ヴィエリ、インザーギ...
もったいない!!


今大会最大のオドロキは何と言ってもトルコの躍進でしょう!!
オドロク程の技術の精度と決定力。
キーパーもすごかったですねー。
MFハサンのテクニックは今大会の白眉だったと思いますし、イルファン、ハカンシュキュル、ウミットダバラ、彼等の顔と名前は世界中の人の記憶に残ったと思います。

それにしても、日本戦の時のトルコはあまりいけてないように感じられたのですが、それは日本が強かったからなのか、ただ単にその日のトルコが調子悪かっただけなのか、どっちなんでしょうねー??

もう一つの衝撃がセネガルでしょう。
もっとも、このセネガル、去年日本が対戦した時にこりゃ強いと思ったので、オドロキはしなかったですけど。

アメリカの力はもはや本物といえると思います。
予選のプレーオフで敗れたオーストラリアもそうですが、ダイナミックな良いサッカーをしていると思います。
これからの躍進が期待できると思います。

アイルランドは魅力的なチームでしたね。
最後まであきらめない不屈の魂は、昔のドイツ代表を彷彿とさせます。

その一方、ドイツは、その不屈の魂をあまり感じさせないチームで、ま、悪くは無かったですけど、普通なら決勝に残れるほどのチームでは無かったのではないかと思います。
ただ、ブンデスリーガのチームの好調さが物語るように、全体的な底上げは進んでいて、2006年の本命になってゆくかもしれません。

韓国は衝撃を残しましたが、チームとしては良かったですけど、個人がおどろくほどの輝きを見せていたか?というと、そうでもないかな?という感じで、ヒディングが去ったらどうなるかは解らないなとは思いました。

日本もまとまったチームだったと思いますけど、目立った選手は稲本と中田英くらいで、選手達の欧州移籍はどうなんですかねー??

ベルギー、デンマーク、スウェーデン等の北欧勢も良いチームでしたが、いかんせん彼等には暑すぎたようです。

賛否の別れているブラジルですが、個人的にはおもしろかったと思います。
彼等の基本は暑い国でプレーするためのプレースタイルで、組織でボールを追い込むより圧倒的な個人技で得点を奪うというもので、日頃戦術だのなんだの言ってる人には受けが悪かったかもしれませんが、僕が一番見たいのは凄いプレーなのです!!
その点、ブラジルの主力選手の時折見せるプレーは凄かった!!
まさに芸術!!
文句あるはずがありません。

今大会屈指のレフティーであるレコバが、最高の技術を持ったジダンが、最高のファンタジスタであるデルピエロが、ルイコスタが、早々に消えたり出場機会がほとんどなくて欲求不満だった僕は、リバウド、ロナウド、ロナウジーニョ、カフーにロベカルの個人技にわくわくしたのでした!!

ワタクシはここに宣言します!!
あくせく走り回る泥臭いサッカーよりも華麗な技術を駆使するサッカーを愛すると!!

大会のベストゴールは、予選リーグのスペインはラウールのシュート。
パスを受けた時のトラップが絶妙でワンフェイクから相手の股を抜いてのシュートは圧巻でした。
一般のファンにはわかりにくいプレーかもしれませんが、技術レヴェルは超A級のゴールだったと思います。

韓国対ポルトガルのパクチソンのシュートも、まさに芸術といった感じのすごいシュートでした!!
ま、ポルトガルをもっと見たかった筆者は、そんなところでゴール入れるなよ、おまえ!!と思ったのですが...
あんな凄いテクニックを持った選手がJ2にいたとは信じられません。

幻のゴールになってしまいましたが、日本対ベルギー戦の稲本の5人くらいディフェンダーをかわして打ったシュートはまさに圧巻で、あれがゴールだったら間違いなく今大会のベストゴールに選ばれていたことでしょう!!

個人的に選ぶベストイレブンは...

GK カーン(ドイツ)
DF ロベルトカルロス、カフー、ホンミョンボ

MF ハサン、ウィルモッツ、トマソン、バラック
FW ロナウド、リバウド、ヴィエリ

...といったあたりでしょうか?

つくずくファンタジスタの活躍の場がなかったなー!!

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